ゆみの帰国日記
ゆみの退院のご報告とお礼
6月2日(金)
既にゆみが退院して2週間が経過しました。
ゆみは結構沢山のミルクを飲んでくれますが、とにかくよく吐きます。現在は1回につき80cc〜100ccで一日6回の授乳です。1回につき飲ませるのに1時間、その後吐かないよう落ち着くまで1時間かかるので、1回あたりの授乳につき2時間もの時間を要します。それでも退院時7.6ポンド(約3470グラム)だった体重は現在9ポンド(約4090グラム)と一日30グラム以上も成長しているはとても良いことです。一昨日からEarly Intervention (早期発育)のプログラムが始まりました。具体的には、週1回のペースで看護師に来てもらい簡単な運動やマッサージを行うことでからだの筋肉の発育程度を管理していくものです。未熟児の場合はどうしても成長が遅くなってしまうということもあり、できる限り早い段階から少しでも追いついていけるよう訓練する必要があります。
ゆみの抱えているいくつかの課題について書きます。まず眼は来週8日にテストがありますので、その結果次第です。前回までのテストでは両目ともステージ1から2で(4月17日参照)あったことと、現在酸素濃度はあまり高くないことから、目については大丈夫だと思っています。
肺については、供給する酸素濃度は随分少なくなってきているものの、まだ少なくとも2,3ヶ月は吸入器の使用を続けていく必要があるそうです。普段は大体安定していますが、食後のゲップに苦しんでいるときなどはとても変動するので、常に安定するようになるまで肺の成長を待ちます。
腸については、ゆみは少しひどいヘルニア(脱腸)です。これは来週7日に手術を予定しています。
耳については、一昨日に精密検査を受けました。結果から言うと、どうやら耳自体は問題ないものの、耳から脳への神経(もしくは脳)に問題があるそうです。これは音を聞くことはできるが、その音を脳に正しく伝えられない状況だそうです。前にも書いた通り感音性難聴(5月1日参照)と呼ばれるもので、ゆみの場合問題なのは音自体は聞こえているため補聴器が使えないことです。具体的には例えば子音が聞き取りにくいそうで、「言葉(KOTOBA)」とこちらが発してもゆみには母音のみの「おおあ(OOA)」としか伝わらないなどです。この状態に補聴器を使用しても、「おおあ」の音を大きくしてしまうだけで結 局解決できないのです。いろいろHPなどで調べてみたのですが、ゆみのような症状の感音性難聴については現在の医療技術では治療が難しいそうで、多くの場合手話などに頼らざるを得ないようです。ただ、1ヶ月前の耳の精密検査ではもっと悪く、まだ成長、発達の可能性があるということで様子を見ようかと思います。まぁ手話でも覚える手間はありますが通常の会話と同じように意思疎通はできるそうなので気にしていませんが。そdれでも耳が悪いことによる脳への障害と目の障害の程度(手話が見えなければ話にならない・・)が気になるところです。
難聴については、(
5月24日(水)
ゆみが退院して昨日で1週間が経過しました。ゆみはよく飲みますが、よく吐きもします。あまりによく吐くので私たちは少し心配しているのですが、毎日のように測ってもらっている体重の推移を見ると順調ということで、食事については問題ないだろうと思っています。
さて、今日は2回目のかかりつけの小児科でした。先週金曜に1回目は、新生児が生後2ヶ月に行う通常の免疫注射についての確認で、今回は耳の検査です。退院前の耳の検査では、精密検査も含めて3回ともパスしていないので(5月1日参照)、それ以降発達しているかどうか気になっていたところでした。
ところが、簡易的ではあるものの、今日のテストでは両耳ともパスしました。今月末に再度精密検査を行うので、そこでもパスすればもしかし� ��ら補聴器など使う必要がなくなるかもしれません。1つの大きな良いニュースにとてもうれしく思います。
ただ1つ悪いニュースがあり、ゆみの下腹部はヘルニアに罹ってしまい、どうやら外科手術が必要になりそうなのです。来週に外科医に見てもらい判断してもらいますが、少しかたちが異常なので心配なところです。
次は明後日の看護師訪問。週2回の看護師訪問と、週1回のかかりつけ小児科医への通院、2週間に1回の眼もしくは耳の検査、外科医と退院してもゆみは(私たちも)大忙しです。24時間体制の管理もしばらく続きます。風邪など気をつけてがんばらないと。。
5月17日(水)
ゆみはとても安定しています。モニターがとても敏感なせいか、よく酸素濃度が下がりアラームが鳴るのですが、ほとんどは何もすることなくすぐに正常値に戻ります。監視カメラも使っているので、基本的にはゆみの傍にいなくとも、私は机に向かいながら、妻は家に仕事をしながらゆみを見ることが可能です。それでも私は一睡もできなかったのですが、今日は2つの予約のある日。午後一番に早速最初の民間の介護サービスの方が来ました。ゆみの様態やどの程度授乳しているのか、またゆみの体重や身長、頭の周囲などを測っておしまいです。来週以降も週に2回のペースで来てくれて、ゆみが物理的に順調に成長しているかを見てくれます。
夕方には直接病院から派遣された介護サービスの人が来ました。可愛そうに、ゆ みはまた身ぐるみを剥がされ体重、身長を測られました。やっていることは民間の介護サービスと同じなので一体何のためにあるのか疑問に思いましたが、ゆみへのミルクやおもちゃをもらえたので良しとしましょう。また、順調に行けば7月上旬にも酸素吸入器が外れるということも言っていました。帰国時期に大きく影響するこの情報はとても助かります。
5月16日(火)
いよいよ退院の日。退院の時刻は14時からの授乳後ということになり、私たちは13時ごろ病院へ向かいました。天気は予報どおり雨です。どうせなら晴れて欲しかったのですが、まぁ何とかなるでしょう。病院に着くと、担当の看護師シェリーは既に荷物の整理をして待っていました。ゆみはとても元気そうにしていて、シェリーにこの日のために買ってもらった花柄の服と花のリボンを頭につけて帰るのを(いや授乳か?)待っていました。ゆみの身の回りのものを片付けるとかなりの量で、服やタオルなどの身の回り用品の入った箱、ぬいぐるみや千羽鶴などの贈り物が入った箱などなどダンボール箱で3つもありました。とりあえず荷物を全て車に積んで、あとは今後のスケジュールの確認や注意事項を聞くのみです。
今 後の予定としては、まず明日に病院と民間の看護サービス会社からそれぞれ人が派遣されゆみの様子を伺いに来ます。明後日には早速かかりつけの小児科医のところで見てもらいます。そして、月末30日には耳の検査と発育の程度をチェックします。ロードアイランドにはDr.Voraという発育学では全米で3本の指に入るくらいすごい先生がいるそうです。どうすごいのかはわかったら書こうかと思います。更に来月8日には眼科医で目の検査です。とりあえず決まっている予定ではこんなところですが、何度もゆみを外に連れて行く必要があるので無事にこなせるか不安なところもあります。
そしてゆみの管理について一通りおさらいをした後(会計などの話は全く無く、後日メールで送られてくるようです)、いよいよ3 ヵ月半お世話になったシェリーやNICUとお別れです。シェリーには一生懸命書いたお礼の手紙と花をプレゼントしました。「私を泣かせる気?」などと言っていましたが、とても喜んでくれたようで何よりです。別れ際には沢山の看護師や医者が声をかけてくれました。シェリーは途中まで送りに来てくれて、最後は泣きながらお別れです。シェリーはいつもゆみのことを自分の娘と言ってくれ、本当に献身的に面倒を見てくれました。いつかゆみが大きくなったら、NICUのこと、シェリーのことを話そうと思います。またゆみには「お互い助け合う」という意味もこめています。将来ゆみがシェリーのように人のためになることをしてくれれば良いなと思っています。
さて、帰る頃はちょうど雨が大降りに振ってしまい一苦 労。ようやく家に帰り、いよいよ家族全員4人での生活が始まりです。Junはほとんど初めての妹との対面で照れていたのか、にやりとするばかりであまり近づこうとしません。それでもその日はとても興奮していたようで、ゆみのモニターが鳴るたびに真っ先に起きていました。ゆみは病院内では50cc/分の酸素吸入でしたが、家では興奮しているのかとても不安定だったので基本的に75cc/分にしています。授乳などはNICUと同じで4時間置きと決め、かなり規則正しい生活です。私たちも昼番、夜番とに分けてゆみの面倒を見ることにしました。
5月15日(月)
いよいよ明日はゆみの退院。もうNICU内での訓練は終わったので、あとは明日沢山の書類にサインをして、今後の通院のスケジュールを調整して、無事ゆみを家に連れて帰るのみです。3ヶ月半の入院生活がようやく終わり、明日からは家族全員が一緒に暮らせるようになります。今までは病院に看病しに行くということで毎日必ず外出していたわけですが、明日からは逆に外出が難しくなりそうです。どのくらい大変かはまだ想像できませんが、ゆみの様態はかなり安定していること、昨年のJunのとき以上に私が家にいる時間が持てること、などから何とかやっていけると思っています。
最近のニュースは特にありませんが、一昨日ゆみは夜のミルク授乳後ほんの少し吐血しました。すぐ医者が来てくれ、ゆみのお腹に張りを感じレントゲンを取りました。結果は特に何もなしでしたが、この数週間風邪に悩まされた私としては、菌がゆみにも移ってしまったのではないかとかなり心配しました。
本当にお世話になったシェリーには花と結構頑張って書いた手紙を贈ろうと思っています。
5月12日(金)
ようやく私の体調も回復してきたので、日記を再開します。ゆみはいよいよ来週の火曜日16日に退院が決まりました。当初、先日11日ということで話が進んでいたのですが、私の体調が良くなかったことと、いくつか看護師からの説明を聞いていないことがあったので遅らせることにしました。
ゆみの体重は既に3340グラム。Junが生まれた時の体重を超えていて、見た目にもかなり大きくなりました。食事は4時間おきに90ccものミルクを飲んでいます。薬も最終的にはZantacとビタミンの2つまで減らすことができました。薬はそれなりに高価なのですが、メディケイドに適用となったおかげで無料です。
心配している眼、耳、肺については、ここ10日間ほとんど変化はありません。眼は先日のテストでは同様にステージ1から2の間です。ただ、今まで2週間に1回のペースでしたが、今後は悪化する確率は低いということで1ヶ月に1回のペースになります。耳については、1日の日記に書いた通りで、今月末に再度行われるテストで障害の程度を確定させ、使用する補聴器を決めます。酸素濃度も相変わらず60cc/分のままですが、以前と比べて少し安定するようになった気がします。
最近はNICU内にある家族部屋でゆみと家族だけで長時間過ごす時間があります。先日は妻と妻のお母さんとで一晩中ゆみの面倒を見て、昨日は夕方から深夜まで私と妻でずっと面倒を見ていました。ゆみは食事の1時間くらい前になると お腹がすくようで、もぞもぞと起きては泣き出す場合が多いです。起きている間はモニターの数字が大きく変化したりします。大体すぐに戻るので、特に何かをする必要があるわけではないのですが、顔色を伺ったり、モニターの数字をじっと追っかけたりと少し緊張してしまいます。
あとは家でゆみを受け入れる準備を進めることです。先日業者から酸素ボンベ(大型1つ、携帯用2つ)が自宅に届きました。心拍数、血中酸素濃度、呼吸数などを測るモニターも同時にいただきました(保険適用なので無料です)。更には、Junがいたずらしないよう部屋を囲む檻、ベットから離れた状態でもゆみの状態(モニター)を見ることができるような無線カメラ、ゆみ用の新しいカーシート、ゆり椅子などなどを購入しました。もうす ぐ帰国を考える時期だというのに、周りには沢山のゆみのモノでいっぱいです。
写真:先日妻のお姉さんからいただいた千羽鶴を飾りました。いただいてすぐに退院が決まりましたよ!
写真:目を開けたゆみ。
写真:同じく目を開けてこちらを見つめるゆみ
写真:お風呂に入れているところ。
5月1日(月)
今日は13時からのミーティングに夫婦でマスク着用で参加してきました。メインの話はゆみの耳の状態です。先週に2回のテストを別々の機械を用いて行ったそうですが、どちらも良い状態(Not ideal)ではありませんでした。その後、3月に感染したRSウィルスの影響によって鼓膜がまだ正常に機能していない可能性があるらしいということで、3度目として直接耳の内部器官に働きかけるようなテストを行いました。2時間半もの時間をかけたらしいのですが、結果は少しの改善が見られたものの、それでも基準値よりもかなり低いという結果でした。医者の説明では、恐らく中程度の難聴の疑いが強いということです。中程度は、通常の会話ではひそひそ声のようになり、ひそひそ声は聞こえないというようなレベルだそうです。詳しくは今後調べていこうかと思っています。
ただ、まだRSウィルスによる影響の可能性もあるということで、今月5月下旬にもう1度テストを受けて、そこで程度を確定させ、どの程度の補聴器 などを使用するか決めるということでした。難聴はその後の言語発達や表現能力に大きな影響を与えるので、確定的なのであれば早く補聴器などの対策を取る必要があります。
もう1点の話題は退院についてです。ゆみは現在100%の酸素を60cc/分必要としていますが、退院後もしばらくこのレートを維持していく必要がありそうです。来週水曜日に酸素吸入器の担当者から使い方についてのクラスに参加し、その後数回NICU内でゆみと一緒に私たちも訓練する必要があります。これが十分になってから退院ということなので、あと2週間程度はかかりそうです。ちなみにゆみが飛行機に乗れる時期についても聞いてみたところ、少なくともこの酸素吸入器が必要なくなるまで(医者の予想としては早くて3,4ヶ月)という� �とでした。
<医療用語等メモ>
※難聴
もっとも多く見られる聴力障害は、中耳炎やその後遺症に伴う後天的なもので「伝音性難聴」と呼ばれます。中耳炎になった新生児はかなりの高い確率で一時的な伝音性難聴(軽〜中程度)となりやすく、また時として恒久的なものとなります。 また、自己免疫疾患、毒性物質、ウィルス感染、大きな音などによって生じる外傷などによる聴力障害は、神経性や感音性の障害ということで「感音性難聴」と呼ばれます。ゆみはウィルス感染による影響であると見られているため、この難聴である可能性が高いようです。この感音性難聴の場合、運動発達の遅れや退行というかたちで表れる前庭障害があります。
治療については、伝音性難聴の場合、補聴器のほか手術による緩和もあります。感音性難聴の場合には主に補聴器が有効です。重度の両側難聴で補聴器では十分では無い場合、人工の耳を埋め込むという方法もあるそうです。
ゆみの場合、とりあえず5月末のテストでどの補聴器をつけるのか判断して、その後の有効性を見て、人工耳を埋め込むなどの方法を探っていくことになりそうです。
参考ホームページ
今日1つ大きなニュースが入りました。ゆみが聴力検査にパスできなかったそうです。パスできない確率は大変低いので、恐らく何らかの障害が耳にあるのだろうと思います。今日の担当のシェリーは詳しく知らされていないようなので(電話で確認しました)、明日以降医者に� ��接聞いてみようと思います。
聴力は脳の発達、言語の発達と直接結びついた大変重要な機能です。少しの障害でパスできなかったのであれば、その影響も大きなものとならないかもしれませんが、難聴や完全に聞こえない状況となると言語にも大きな影響があります。まだ医者にも何も聞いていませんし、予備知識も無いのでとりあえず情報を集めてみることにします。ただ、先日クラシック音楽を流した際にはゆみは首を向けたので、全く聞こえないということは無いと思っています。
さて、明日は毎月恒例のミーティングがあります。夫婦共々風邪ということで、マスク着用でNICUの外の部屋でやることにしました。ゆみの耳の状態、酸素濃度の管理、退院に向けた準備の3点について詳しく聞こうと思っています。
まず、昨日からゆみの呼吸器は更に簡易的なものに変わりました。今までは酸素濃度○%という数値で調節していたのが、今度は○ccと酸素注入量で調節します。(1分間の量でしょうか?シェリーに聞いてもわからなかったのでそのうち調べます。)。昨日の開始時点では100ccでした。これでも前の30%近辺の注入量よりも減っているそうですが、ゆみはとても安定していました。そして、今日は更に60ccまで減らしたそうです。それでも特に問題ないようなので、少し驚いてしまいました。これが25ccまで下がれば退院OKだそうです� �来週はじめには更に減らすと言っていたので、順調に行けば5月上旬には退院できそうです(目標の5月1日よりは遅れそうですが・・)。
もう1点は、昨日の眼の検査が出ました。前回と同じレベル1〜2(4月17日参照)でした。これから悪化する可能性は低いということで、何とか眼の方は安心できそうです(それでもしばらく酸素吸入器を使い続ける以上リスクはあるわけですが・・)。
あとは、昨日新生児用の人口呼吸(CRP)のクラスに夫婦で参加してきました。手順について大人の場合と大きな違いはありませんが、まだ首が据わってい ない場合の手の置き方や、人口呼吸の量(大人のように思いっきり息を注入させてしまうと大変です)、新生児の心臓マッサージのやり方、などについては少し注意が必要です。授業後には、シミュレーションとして、私が外出して妻が一人しかいない場合にきちんと911を呼べ適切な対応ができるなど話し合いました。
今日は看護師のシェリー(Sherry)について書きたいと思います。ゆみのお世話になっているNICUでは、赤ん坊によって専属の看護師がいる場合とそうでない場合があります。特定の未熟児の専属となるかどうかはそれぞれの看護師の判断に任されているようで、未熟児によっては専属の看護師が付かず、ほぼ毎日看護師が変わります。ゆみは運が良かったのか、シェリーが専属の看護師となり、基本的に平日昼の多くは彼女がゆみの面倒を見ています。専属の看護師の場合、一人の未熟児を長く見ているため医者以上に状況をわかっている場合があります。ゆみの場合も、シェリーが状況を判断し医者に許可をもらうということが多くありました。